接客・応対

言い方一つで、受け取り方が変わる

ある飲食店で食事をしていた時のことです。

 お客様が、接客者に
 「この写真の料理は、〇〇という名前の料理ですか」と聞かれました。
 写真に料理名が書いてなかったのか、書いてあっても気づかれなかったのかは定かではありませんが。

 接客者は、お客様の声に被せるように、
 「違います。そちらは〇〇という料理です」と言いました。

 この言葉を聞いた時『何だか冷たいな』と感じました。
 確かに接客者の言うことは間違いではありません。
 ですが、その言い方に、お客様はカチンときてしまう時があります。

 この接客者の問題点を挙げてみましょう。

 まず一つ目は、お客様の言葉に被せて話し始めたことです。
 頭の回転の速い人ほどこうなりがちです。
 一を聞いてそれこそ十もわかる人は、お客様の言葉をちょっと聞いただけで、
 質問の内容を読み取ってしまいます。

 それこそ「あれ」 と言ったら 「ああ、あれですね」と、
 その『あれ』を確実にやってくれたら、上司としてはとても仕事がやりやすく、
 その上、想像以上の仕事をこなしてくれると、やはり優秀な人物という評価になります。

 ですが、読み取るということと、人と話をすることとは違います。

 お客様の言葉をちょっと聞くだけでわかるということは大変良いことですが、
 相手の言葉を遮ってまでしゃべり始めると、お客様にとっては、感じが悪いものです。
 それこそ馬鹿にされた印象を持ってしまう方もいるでしょう。

 接客者にしてみたら、次の仕事があるので、何を言いたいのかわかったら、とっとと
 応えて他の仕事に入りたいかもしれません。
 ですが、これが、お客様にとってみたら自分を無視された感覚に近いのです。

 お客様の言葉を最後まで聞く、これが会話をする上での重要ポイントになります。


 次の問題は、「違います」 と否定語を最初に出してしまったことです。

 言葉をさえぎり、否定語が出てくると、お客様は、自分が否定されたような気分になってしまうことが
 あります。
 「なんだ、その言い方は」 と怒り始めてしまうお客様もいます。

 良い意味での否定語は、決して感じが悪いわけではありません。
 ですが、こういう場合は、避けた方が良いでしょう。


 では、どのような言い方をしたらいいのでしょうか。

 いろいろな言い方のいくつかを紹介してみましょう。

 まず一つ目。
 「こちらの写真でございますね」 とお客様の言われた言葉をオウム返しして、
 しっかり聞いていることをアピールします。
 その後で 「こちらの写真は、〇〇の料理でございます。」 と言います。
 オウム返しをすることで、お客様との信頼関係を築くのです。

 また、次のような言い方もあります。
 「こちらの写真でございますね」 とオウム返しをした後、
 「わかりにくい写真で、申し訳ございません。こちらは〜」 と言います。
 お客様の知りたいことをうまく伝えていないメニュー写真に問題があります。
 お客様が質問された内容はごもっとも、という気持ちを込めてお詫びの言葉を入れます。

 または、お客様はおいしそうな料理なので食べてみたい、と思って聞いているのかもしれません。
 「こちらの写真は、〇〇の料理でございます。季節のお野菜をふんだんに使いまして〜」 と、
 料理説明に入ってもいいかもしれません。


 どの言い方が正解ということではありません。
 その時その時で、お客様の知りたいことをどのような言い方で伝えたらいいのかを
 考えることで相手を思う気持ちが育つのです。

 たかが 「違います」 という言葉ですが、いろいろと考えさせてもらった場面でした。


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