経営者・教育担当者編   

その店に行かなくなかった理由

朝礼で、〇〇店の店長が従業員に次のようなことを話しました。

「毎日、あるコンビニに行っていました。今朝、その店の店員の一人から、
 おはようございます、いつもありがとうございます、と声を掛けられました。
 私は、このコンビニには、もう行かないでおこうと思います。何だか買い物がしづらくなってしまいました」

この話を聞いた、従業員の一人が、店長に対して不信感を持ったと話してくれました。

「この話って変ですよね。声を掛けてくれたということは、覚えてくれたわけですから、
 普通はお客様は喜びますよね。それが嫌だという発想が変。
 だから店長、お客様から苦情を言われても、すぐに謝りに行かないんだ。いつも逃げているんです。
 考え方が、消極的というか、ズレている気がします」

従業員の話は、より力が入る。
「お客様に声を掛けてはいけません、と言われているような気持ちになりました。
 私は、お客様と会話をすることは、とても大切と思っているのです」

さあ、この話を聞いて、皆さんはどう思われるでしょうか。

この店長の、店長としての資質という点は少しおいておき、お客様の視点ということで書いてみたいと思います。

この店長の考え方は、けっして間違ってはいません。
お客様には、いろいろな考え方の人がいます。
「その考え方は変です」というものはありません。
一人一人、お客様の考え方は違うのですから。

例えば、この店長のようなタイプのお客様を考えてみましょう。

店に行って、声を掛けられてうれしいと思う場合と、うれしいとは思わない場合があるのではないでしょうか。
うれしいと思う場合は、その店を利用することで、こちらのステータスが上がる時です。

例えば車を買おうと思って何度か販売店に行ったとしましょう。
全く覚えてもらっていないと、無視されているようで気持ちの良いものではないでしょう。
少なくとも、何十万、何百万を使おうとしている客を覚えていない従業員がいたとしたら信用できないような気さえします。

ですが、本屋に行って、いつも漫画を買っていたとしましょう。
その姿を誰にも見て欲しくないと客側が思っていた場合、
「いつもありがとうございます」などと声が掛かると、今後その店では買いたくなくなる、という客もいるでしょう。

なぜかといえば、
『あの人、いつも漫画を買っている。漫画以外、読まないのかな』
などと、変な勘ぐりをしてほしくはないという心理もあるからです。 上記は一例だが、客の立場で言えば、声を掛けてもらってうれしいと思う時と、そうではない時があるということになります。

そういえば、あるスーパーの惣菜売場で
「今日、〇〇の場所を歩いている姿を見たよ。どこか行ったの?」
と声を掛けられてからは、その惣菜店には行かなくなりました。
何だか常に、見られているような気持ちになって…。

店長としては、その店で、静かに買物をしたかったのでしょう。
今日は、何を買ったか、などといちいち詮索をしてほしくはないのです。
店に行って、その店の店主が対応してくれてうれしい時と、アルバイトに対応してもらったほうが良い時があります。
買物の内容をチェックされているという気持ちにならず、欲しい物が買えるからです。

顔を覚えられて、良い時もあれば、逆の時もあります。
お客様の心理は、それぞれ。自分の考え方がこうだから、全てのお客様がそうだと判断するのは、それこそ独りよがりの世界になります。
ですが店長は、なぜ行きたくなくなったのか、という理由も話さなければ、従業員に対しては誤解が生じます。

接客サービスのレベルアップ三段階からみた場合、これは第一段階の話です。
お客様の中には、顔を覚えて、声掛けをしてもらうことがうれしいと思っている方もいるのですから。

店長として話をする時は、この話を聞いて相手がどう思うか、そこまで考えて話をしなくてはならないということです。


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